子供の手が離れつつあるアラフォー世代になってくると、心にゆとりが出てくるため、それまで気にならなかった夫との関係に疑問を持ち始める人は少なくありません。
子育ても落ち着いた状態なので、夫から養育費さえもらえれば自分の収入でもなんとかやっていけそう。残りの人生はまだ長いから離婚したい!と悩んでいるあなた。
少しお待ちください。
離婚した場合のデメリットは、想像以上に大きなものです。
離婚することは結婚することにくらべ何十倍も気力、体力が要りますし、精神的ダメージも大きいです。
そんなときは、冷静に考える期間を設けるために、少しの間別居してみてはいかがでしょうか?
アパートを借りたり、家電を購入したりと出費は重なりますが、離婚してしまって生活苦になり、立ち行かなくなることを考えれば、とりあえずの別居はお互いにとって悪い選択肢ではないように思われます。
お子さんとあなたが路頭に迷うことのないよう、この記事が少しでもお役に立てたらうれしいです。
目次
まずは離婚後の生活の予行練習を!
さて、結婚生活を前向きに仕切りなおす希望も持ちながら、婚家から出て、お子さんとアパート暮らしを始めたとします。
まだ離婚せず、別居を始めた場合、※婚姻費用を収入が多いほうから少ないほうが補ってもらえることを、あなたはご存知ですか?
※婚姻費用:婚姻期間の生活費、食費、被服費、住居費、水道光熱費、医療費、衛生費、子供の塾代等、婚姻共同生活に必用な費用。
(民法760条「婚姻費用の分担」)
婚姻中は、上記の法律で、婚姻費用を夫婦で分担することが定められています。
一般的には、夫の収入のほうが高い家庭が多いため、夫婦の話し合い、または家庭裁判所の調停で婚姻費用の分担額を決め、妻の収入では足りない分を夫が分担して妻に支払う形がほとんどではないかと思われます。
婚姻費用の額は、別居に至るまでかかっていた生活費を参考にして科目ごとに分けて算出し、夫婦間の話し合いだけで困難な場合は、家庭裁判所の調停で取り決めするのが、手堅い方法だと思います。
その場合は、居住地管轄の家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停申立書」を必用な書類とともに提出します。
申立に必用な書類、費用
・婚姻費用分担請求の申立書(裁判所のホームページから雛形はダウンロードできます)
・夫婦の戸籍謄本
・申立人の給与明細、源泉徴収票など収入のわかる資料
・夫の収入のわかる書類等
・収入印紙代1200円
・切手代800円前後
夫婦仲がこじれている場合は、二人で話し合いをして婚姻費用をスムーズにもらうことは難しい状況が多いため、家庭裁判所の調停を利用するほうが安心です。
ただし、調停で決められた婚姻費用の分担額が大きかったり、別居生活が長引く場合は、約束した金額の振り込みが滞ったり、自己都合で減額されたりすることも出てきます。
公証役場で婚姻費用分担請求の公正証書を作成してもらう
前述したような、夫の自己都合で約束した婚姻費用をもらえなくなった事態を防ぐためにも、※公正証書を作成して婚姻費用の支払い条件を定めておくと安心です。
※公正証書:公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書。婚姻費用の支払いが滞った場合は、「強制執行認諾条項」を定めておくことで給与や口座の差し押さえなどの「強制執行」の申立が裁判で確定判決を受けなくても、すぐに行なえます。
婚姻費用をもらいながら自分の収入で子供との生活が成り立ちそうか?様子をみて暮らしてみる
夫の収入が多い場合は、婚姻費用の金額もほどほどにもらえるため、あなたの収入と合わせれば特に不自由を感じることなく暮らせるはずです。
ただ、婚姻費用は永遠に続くものではないですし、支払う夫の側は自分の生活が苦しくなるため、婚姻費用をもらい始めて間もなく、離婚申立請求に踏み切ってくるかもしれません。
離婚となると、あなたにはお子さんの養育費しか入ってこなくなり経済状態は一転します。
そういう危険性も見越して別居しながら、離婚するか、生活、子供の将来を考えて、もう一度夫とやり直してみるか、なるべく早い段階で結論を出すことをオススメします。
※民法770条に定められた離婚事由に該当すれば、夫婦どちらかの合意がなくても離婚が成立してしまうことも頭に入れておきましょう。
※(裁判上の離婚)第770条:夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。引用:民法
離婚する前に現実を見つめ直すことが大切です
結婚生活は、どんなに立派な人でも忍耐無しでは通れないのが現実です。
子供にとっても両親の都合で離れ離れになり、生活環境が変わるのはとても辛いことです。
離婚する前にワンクッション置く意味でも婚姻費用を利用しながら別居してみて、今後、結婚生活を立て直すために、もう少し努力を続けられないか?考える時間を大切にしてほしいと思います。
あなたが、幸せな未来に少しでも近づけるよう祈っています。